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9月, 2023の投稿を表示しています

10-1-3 1〜10世紀の西洋文学から観る:古代ギリシャ・ローマ文化〜キリスト教ヨーロッパの誕生

西洋と日本それぞれの根源的な特徴を言語化していくヒントが得られないかと、双方の代表的文学作品をあげ、それぞれの民族的・宗教的・文化的・思想的傾向について考察してみようと思います。まず、1〜10世紀の西洋における代表的な文学作品とその簡単な内容について、GPT4君の協力も得て以下のようにまとめました。 ・1世紀:ローマ帝国の詩人 オウィディウス が「変身物語 」を書きました。これはギリシア神話やローマ神話の登場人物たちが様々な姿に変身する物語を集めたものです。 ・ 2世紀:ギリシア人の作家 ロンゴス が「ダフニスとクロエ 」を書きました。これは牧歌的な恋愛物語で、シチリア島で育った二人の羊飼いが恋に落ちる過程を描いています。 ・3世紀:エジプトの作家 ヘレニスティック・ロマンス が「 アイティオピカ 」を書きました。これはエチオピアの王女とテッサリアの王子の冒険と恋愛を描いた物語で、多くの奇跡や危機が起こります。 ・ 4世紀:キリスト教の神学者 アウグスティヌス が「 告白録 」を書きました。これは彼自身の罪深い過去とキリスト教への回心を語った自伝的な作品で、西洋文化に大きな影響を与えました。 ・5世紀:ギリシア人の歴史家 プロコピオス が「 戦争誌 」と「 秘史」を書きました。「戦争誌」は東ローマ帝国のユスティニアヌス帝の治世下で起こった戦争を記録したもので、「秘史」はユスティニアヌス帝やその妻テオドラの暗部を暴露したものです。 ・6世紀:イタリア人の詩人 ボエティウス が「 哲学の慰め 」を書きました。これは彼が政治的な陰謀によって投獄された際に、哲学と対話することで自らを慰めるという形式で書かれた作品です。 ・7世紀:西洋文学の中で最古の叙事詩である『ベーオウルフ』が古英語で書かれ、英語文学の源流とされています。この作品は、デンマークの王ヒューゲラクとその家臣ベーオウルフが、怪物グレンデルやその母親、火の竜と戦う物語で、北欧神話やゲルマン民族の伝承が反映されています。 ・8世紀:カール大帝(フランク国王、初代神聖ローマ皇帝)の宮廷でラテン語文学が隆盛しました。代表的な作品には、カール大帝の側近エイギルハルトが書いた『 カール大帝伝 』( ローマ帝国滅亡後のヨーロッパに「秩序」と「文明」の光明をもたらし、キリスト教文明の基礎づくりをしたフランク王国の創設者カロル

10−1−2.GPT4君の回答:「ヘブライズムは、風土との対話の中で生まれた神と人との関係の物語です」

ヘブライズムを和辻哲郎の風土論的視点からアプローチしてみようかなと思い、GPT4君に問いかけてみました。意外にも大きな間違いもなく満足できる回答が、初めて返ってきました。皆さんの参考にもなると思いますので、そのまま下記します。 quote 私:ヘブライズムを風土から論じてください。 GPT4:ヘブライズムを風土から論じるというのは、非常に興味深いテーマですね。 ヘブライズムとは、ユダヤ人(ヘブライ人・ユダヤ教)風の文化性のことで、一神教、啓示、戒律、終末思想などがその特徴とされます。ヘブライズムは、古代イスラエル民族の歴史的な経験と、その地域の自然環境との関係によって形成されたと考えられます。 古代イスラエル民族は、紀元前2千年紀にカナン地方に移住した遊牧民でした。彼らは、周囲の多神教的な文化と対立しながら、唯一の神ヤーウェに対する信仰を確立しました。ヤーウェは、彼らに 約束の地 を与えると約束し、彼らをエジプトから解放し、彼らを導くと誓いました。しかし、彼らはしばしば他の神々に心を奪われたり、ヤーウェの戒律を破ったりしました。そのたびに、ヤーウェは彼らを罰し、預言者を通して彼らに悔い改めと回心を求めました。預言者たちは、ヤーウェの正義と愛を説き、社会的な不正や偶像崇拝を糾弾しました。彼らはまた、神の国が来る日やメシアが現れる日などの終末的な展望を語りました。 こうした歴史的な経験は、イスラエル民族の風土にも影響されていました。カナン地方は、地中海沿岸部と内陸部の山岳地帯に分かれており、気候や植生も異なっていました。沿岸部は温暖で肥沃であり、フェニキア人やカナン人などの商業的・文化的な活動が盛んでした。 一方、山岳地帯は寒冷で乾燥しており、農業や牧畜が主な生業でした。イスラエル民族は主に山岳地帯に住み着きましたが、沿岸部の文化や宗教に惹かれたり脅かされたりすることもありました。 また、カナン地方は周辺の大国エジプトやアッシリア・バビロニア・ペルシアなどの支配下に入ったり抵抗したりする歴史を繰り返しました。これはイスラエル民族に対する神の試練や罰として解釈されましたが、同時に他国の文化や思想に触れる機会も与えました。特にバビロン捕囚(紀元前6世紀)以降は、ヘレニズム文化やゾロアスター教などの影響を受けることになりました。 以上のように、ヘブライズムは風土から切り離すこ

10−1−1.西洋の古代文学:ギリシア神話

前回まで英国と日本の古代政治思想について述べてきましたが、その中で読者の方から「 古代ギリシアの民主政、古代ローマの共和政がありながら、なぜヨーロッパは絶対王政に傾いていったのか? 」 という鋭いご指摘がありました。にわかには答えられませんので、文化的背景を調べながら何か糸口はないか考えてみようと思います。そこで、まず西洋と日本の古代文学について当たってみることにします。 ◯西洋の古代文学と言えば、古代ギリシア・ローマ文学ですね。 古代ギリシア・ローマ文学と言えば、 ギリシア神話 が有名ですね。ギリシア神話は、古代ギリシアの神々や英雄たちの冒険や恋愛、戦争などを描いた物語の集合体です。ギリシア神話は、古代ギリシア人の宗教・文化・思想に大きな影響を与え、 西洋文明の基礎の一つとなり、 現代の芸術や文学にも多くのモチーフを提供しています。 ギリシア神話には、さまざまなジャンルやテーマの物語がありますが、代表的なものとしては以下のようなものが挙げられます。 ・叙事詩:長編の物語詩で、神々や英雄たちの壮大な活躍を歌います。最も有名なものは、 ホメーロス (紀元前8世紀)による『イーリアス』と『オデュッセイア』です。『イーリアス』は、トロイア戦争の一場面を描き、『オデュッセイア』は、トロイア戦争から帰国するまでに様々な冒険をした英雄オデュッセウスの旅を描きます。 ・神話学:神々や英雄たちの系譜や起源を記述したものです。最も体系的なものは、ヘーシオドス(紀元前8世紀)による『神統記』です。『神統記』は、最初に生まれたカオスから始まり、オリュンポス十二神や人間の誕生までを述べます。 ・ 悲劇:舞台上で演じられた物語で、神々や運命に翻弄される人間の悲哀を描きます。最も有名なものは、ソポクレス(紀元前5世紀)による『オイディプス王』や『アンティゴネー』です。『オイディプス王』は、父親を殺して母親と結婚したことを知った王オイディプスの悲劇を描きます。『アンティゴネー』は、兄弟同士で戦って死んだ兄たちの遺体を埋葬することを禁じられた姉アンティゴネーの悲劇を描きます。 ・物語:短編や中編の物語で、神々や英雄たちのエピソードや逸話を描きます。最も有名なものは、オウィディウス(紀元前後)による『変身物語』です。『変身物語』は、さまざまな人物が動物や植物などに変身する物語を集めたものです。 ◯私

9−2−4.十七条憲法:物事は独りで判断してはならず、必ずみんなで十分論議すべきである。

前回に続いて、 14.自分が人を嫉妬すれば、人もまた自分を嫉妬する:     官吏たちは、嫉妬の気持ちを持ってはならない。自分が人を嫉妬すれば、人もまた 自分を嫉妬する。嫉妬の患いは際限がない。そのため、自分より英知がすぐれて いる人がいると喜ばず、才能がまさっていると思えば嫉妬する。それでは、五百年 たっても一人の賢人に出会うこともできず、千年たって一人の聖人が現れることも 難しいであろう。賢人や聖人を得なくては、国を治めることはできない。 15.私心を捨てて公務に専念することが、臣たるものの道である。 およそ人に私心があれば、他人に恨みの心がおきる。恨みがあれば必ず不和が生じる。 不和になれば私心で公務をとることとなり、結果として国全体の利益を損なうこと になる。恨みの心がおこってくれば、制度に違反し 法律を犯す者も出てくる。 だから、第一条で 上下の人々が相和し協調するようにといったのもこの気持ちからである。 16.民を使役するのに時期を考えよ:   民を使役するのに時期を考えよとは、古からのよい教えである。冬の月には暇が あり、民を使役することができる。春から秋までは、農耕や養蚕などで忙しい時期 であるから、民を使役してはならない。農耕をしなければ、何を食べればいいのか。 養蚕をしなければ、何を着ればいいのか。 17.物事は独りで判断してはならず、必ずみんなで十分論議すべきである。 些細なことは軽いことなので、必ずしもみんなで論議しなくてもよい。 しかし、重大な事柄を議論する場合には、間違いがあるかもしれないと疑って、 みんなで論議を尽くせば、道理にかなう結論が得られるであろう。   ◯私感: シラス統治(象徴天皇制)のもとで、この十七条憲法の精神は、国家建設、独立堅持、 蒙古襲来、戦国時代、自然災害、西洋帝国主義襲来など様々な課題や危機にぶつかり それを乗り越えていく中で、一本の長い中心軸となっていきました。 これが世界に類例を見ない日本独自の在り方の一つとなったのですね。 そして、明治天皇が神々に誓われた維新の基本方針である 「五箇条の御誓文」 に繋がっていくことになりました。その現代語訳です。 『一、 広く人材を集めて会議を開き議論を行い、大切なことはすべて公正な意見 によって決めましょう。  一、 身分の上下を問わず、心を一つにして積極的に国を治め整

9−2−3.十七条憲法:人の意見が自分と違っても怒ってはならない・・・皆ともに凡夫なのだ

前回に続いて十七条憲法の現代語訳です。 9.信(真心)が根本である: 信(真心)は人の行うべき道の根本である。何事にも信がなければいけない。善とか悪とか、成功とか失敗とかの成否は、すべて信のあるなしにかかっている。群臣にみな信があるなら、どんなことも達成できるであろう。しかし、群臣に信(真心)がなかったら、どんなこともみな失敗するであろう。 10.人の意見が自分と違っても怒ってはならない: 心の怒りをやめ、憤りの表情を棄て、人の意見が自分と違っても怒ってはならない。人はみなそれぞれ心があり、それぞれこだわるところがある。相手がこれこそと思っても自分はよくないと思うし、自分がこれこそと思っても相手はよくないと思う。 自分は必ずしも聖人ではなく、相手が必ずしも愚かというわけではない。皆ともに凡夫なのだ。これがよいとかよくないとか、どうやって決めることができよう。お互いに賢くもあり愚かでもあり、耳輪に端がないようなものである。それゆえ、相手が怒っていても、むしろ自分が過失を犯したのではないかと恐れなさい。自分独り正しいと思っても、人々に従ってともに行動しなさい。 11.功績と過失を判断し賞罰を明らかにすべきである:       官吏たちの功績や過失を判断し、賞罰を必ず行わなければならない。近頃は、褒賞は必ずしも功績によって行わず、懲罰は罪によって行わない。賞罰たずさわる群卿 グンケイ は、賞罰を適正、明確に行うべきである。 12. 国に二人の君はなく、民に二人の主はない:          国司や国造は、天下万民から勝手に税を取ってはならない。国に二人の君はなく、民に二人の主はない。この国土のすべての民は、みな天皇を主としているのである。徴税の任にある官吏は、みな天皇の臣下なのである。 どうして正規の徴税といっしょに、天下万民から私的に徴税することが許されるであろうか。 13.官職の職内容を熟知せよ:                  それぞれの官職に任じられた者は、その職務内容を熟知せよ。 突然の病気や出張などで職務ができないことがあっても、職務に戻ったなら、従来のようにその職務に和していくようにせよ。 そのようなことは聞いていないといって、公務を妨げるようなことがあってはならない。 ◯私感:第十条は釈尊の言葉のようで、すごいですね。 自分は正しい、相手が間違っている

9−2−2.十七条憲法:富や美食をむさぼることをやめ、欲望を捨て、訴えを公明正大に裁きなさい

前回に続き、十七条憲法現代語訳第五条からです。 5.裁判は公平にすること:                         富や美食をむさぼることをやめ、欲望を捨て、訴えを公明正大に裁きなさい。天 下万民の訴えは一日に千件もあろう。一日でもそうなのだから、年月を重ねたら どんなに多いであろうか。だが、現状は、訴えを裁く者が、私利を得るのを当た り前と思い、賄賂を見てから申し立てを聴くありさまだ。財力ある者の訴えは、 石を水中に投げ込むように 必ず聞き届けられるが 、貧しい者の訴えは、水を石に 投げ込むよう に、手ごたえもなくはねつけられてしまう。 これでは貧しい者たち は、どうしていいか分からない。このようなことは、臣の道に背くことである。 6.悪を懲 コラ らしめ、善を勧 スス めること: 悪を懲らしめ、善をすすめるのは、古からの貴い教えである。それゆえ、人のよい行いは隠すことなく公にし、悪事を見たら必ず正さなければならない。諂 ヘッラ い媚 コ びる者は、国家をくつがえす恐ろしい武器となり、民を滅ぼす鋭い剣ともなる。またおもねり媚びる者は、上には好んで下の者の過失を告げ口し、下に向かっては上の者の過失を誹謗 ヒボウ するものである。このような人々はみな君に対しては忠義の心がなく、民に対しては仁愛の心がない。大きな乱れのもととなるのである。 7.その官職に適した人を任ずること:                   人にはそれぞれの任務があり、それぞれの職掌を守り、その権限を乱用してはならない。賢明な者を官に任ずれば、たたえる声がおこるが、悪賢い者がその官を保つときは、政治の乱れが頻発する。世の中には、生まれながら物事をわきまえている者は少なく、努力してこそ聖人となる。事の大小にかかわらず、適任の人を得られれば必ずよく治まる。時代の動きに関係なく、賢人が治めれば、寛 ユル やかな世になる。これによって、国は永久に安泰となる。だから。昔の聖王は、官職に適した人を求めたが、人のために新しい官職を設けたりはしなかった。 8.すべての官吏は、朝早く出仕し夕遅く退出すること: すべての官吏は、朝は早く出仕し、夕は遅く退出するようにしなさい。公務は忙しいものである。一日かかっても、すべて終えることは難しい。このため朝遅れて出勤したのでは緊急の用に間に合わないし、早く退出したの

9−2−1.十七条憲法の現代語訳:和を貴トウトびなさい。人をのろわないようにしなさい。

聖徳太子によって604年につくられ、日本人の高い道徳性のベースとなった十七条憲法の現代語訳です。その後の日本人の精神史の底流を流れる思想であり、その人間観は現代日本人にも大いに響くところがあるものでしょう。一方、私たち現代日本人に耳の痛いこともあるようです。 1.和を以 モッ て貴 トウト しとなす:                   和を貴 トウト びなさい。人をのろわないようにしなさい。人は誰でも群れをつくりたがり、理想的な人格者というのは少ないものである。それゆえ、 とかく指導者や父に従わなかったり、近隣と争ったりするものである。しかし、上下が和睦し 平等の立場でしっかりと話し合えば、理想と現実の調和がおのずから実現し、成就できないことはないであろう。 2.篤 アツク く三宝 サンポウ を敬 ウヤマ え:                   篤く三宝を敬いなさい。三宝とは仏と仏法と僧侶のことである。 仏教はあらゆる生きものが最終的に帰り着くるところであり、すべての国々が仰ぐ究極のよりどころである。どのような時代のどのような人でも、この仏法を尊ばないものがあろうか。まったくの悪人はまれであり、よく教え諭せば必ず仏法に帰依するようになるものである。仏法に帰依しないで、 どうやって曲がった心を正すことができるであろうか。 3.詔 ミコトノリ を承けては必ず謹 ツツ しめ:                天皇の詔書を賜ったときは、必ず謹んでそれに従いなさい。天皇は天であり、臣は地である。天は地を覆い、地は天を戴き、それによって四季は規則正しく移りゆき、万物は通い合うのである。しかし、地が天(臣下が天皇)を 覆おうとするなら、この秩序は破壊されてしまう だけである。だから、天皇の御言葉に臣下が従い、上の者が行えば下の者もこれにならうものである。したがって、天皇の詔書を賜ったときは、必ず謹んでそれに従いなさい。謹んで従わなければ、結局は国が滅んでいくことになるであろう。 4.官吏は、礼を基本とすること:                 官吏は、いつも礼を基本としなければならない。民を治める根本は、必ず礼にある。上の者の行いが礼法にかなっていないときは、下の者の秩序は乱れ、下の者に礼法がなければ、必ず罪を犯す者が出てくる。だから、群臣に礼法がたもたれていれば、社会の秩序