◯私感: 古代・近世の日英は、「しらす」政治と「うしはく」政治の典型例ですね。 12世紀、 イングランド国王ヘンリー1世 は、 自分の権力欲、権威欲、名誉欲、征服欲、支配欲、財欲などのあらゆる欲望を 満足させることに血眼になっていたという感じですね。その欲望全開に対して 宗教的権威によって干渉してくるローマ教皇が煙たい。 なんとしても教皇の権威権力から独立したいという強い欲求から、 王が癌患者に手で触れたら癌が治癒したというストーリーを作り、 霊的治癒力獲得を理由にローマ教皇からの王権独立を主張したそうです。 16世紀、 ヘンリー8世 は、 男子を産まない王妃を離婚し再婚しようとしましたが、ローマ教皇に離婚申請を 拒否されました。王は怒り、ローマ教会からの分離独立を断行し、 カトリック修道院を全て閉鎖させ、新たにイングランド国教会を自ら設立し、 自ら首長になりました。 ちなみに彼は6回離婚し、その内二人の前妻は処刑されています。 このような欲望全開の国王、誰も暴走を止められない国王に支配されていた 民衆の苦しみはいかなるものかと、深い悲しみを感じます。 フランスでは、18世紀のフランス革命前のフランス人の平均寿命が、24歳だった という情報があります。 ベルサイユ宮殿の豪華絢爛な宮廷生活の下に、すべての民衆は飢えに苦しみ圧政に のたうち回っていたということの証ですね。 その恨みを晴らすかのように、当時の ルイ16世と王妃マリー・アントワネット は、革命派によりパリで ギロチンで処刑 されました。 この革命騒乱の中で、70万人が殺戮されたとの情報もあります。 フランス革命の美名の下で、一体いかなる理由で誰がかくも多くの尊い人命を 奪ってしまったのでしょうか。 おそらく民衆の中に数世紀にわたり深層心理の奥底に押し込まれてきた抑圧感情が 暴発し狂気となって、無実無関係の大勢の人々を殺戮しまくるに至ったのではないか と思います。 恨みを抱いた人々が無実無関係の人々を殺す、恨みと恨みの連鎖はとどまることが ないようです。幼児期に虐待された者が、心的外傷を深層心理に押し込み、 ある日突然フラッシュバックしてくることがあります。 暴力的な「うしはく」抑圧統治の黒い怨念が歴史の底流を流れているような気が する事件が、今でもフランス等で時折起るようです。 「汝、殺すなかれ」と 十戒