①すでに解説したように、朝鮮国王が自ら政権をロシアに献上したこと(なんと売国奴な国王か)により、実質的に朝鮮はロシアの支配下となります。さらに、領土的にもロシアは朝鮮北部に攻め込み制圧してしまいました。その上、ロシアは満州の兵力を強化し朝鮮にも軍事要塞を造り始め、このまま放っておいたら、日本が危なくなってしまうことは、誰の目にも明らかな状況となってしまいます。これによって、日本はロシアが朝鮮に軍事拠点を完全に完成させる前に、ロシアを朝鮮半島から追い出す必要性に迫られます。 ②しかし、次の表を見れば分かるように、戦力差は余りにも大きく、普通に戦えばまず勝てる状況ではありませんでした。 開戦前の戦力: 日本 ロシア 最大動員兵力 100万人 208万人 戦艦 6隻 15隻(開戦時、極東に7隻) 海軍力 26万トン 80万トン 鉄鋼生産力 5万トン 220万トン この戦力差だけを見たら、後の大東亜戦争よりもひどいですからね。特に鉄の生産量に圧倒的な差がありますね。戦争が少しでも長引けば、物量の差で絶対に勝てません。だから、当時の政府の人たちは、戦争を始める前から、終わらせ方というのを考えて動いていたのです。 ③じゃあ、どういう終わらせ方をしようとしていたか?まず大前提として、日露戦争の戦争目的は、朝鮮半島からロシア軍を追い出すことです。だから、陸軍で朝鮮半島を制圧し、日本が優位に立ったら、すぐに和平交渉に入り早期に戦争を終わらせるというのが、当時の日本政府のプランでした。そのために、開戦前から日本はアメリカに和平の仲介役をお願いしています。 ④日本にとってこの戦いに負けるということは日本の存亡の危機を意味しますから、兵士の士気は高くとにかく必死でした。そのお陰もあって日本軍は多大な被害を出しながらもひるむことなく、朝鮮半島を一気に駆け上がり、なんと満州の奉天までロシア軍を追い返すことに成功します。 しかし、この時点で弾薬は尽きてしまっていて、これ以上の追撃はできないという状況に追い込まれてしまいます。もし、弾切れがばれてしまったら、ロシア軍に反撃されて日本軍は全滅してしまいます。そのため、日本軍は弾薬が尽きたということがロシア軍にさとられないように、「我々の戦争目的は達した。よってこれ以上無駄な争いをする必要はない」と...
①今回は日露戦争の原因について見ていきたいと思います。 大きく分けて二つの原因があります。 一つは、当時の清国と朝鮮が余りにも弱かったこと、更に強くなろうとする意志はかけらほどにもなかったことです。 もう一つは、超侵略国家ロシアの目が清国と朝鮮に向いていたということです。 日清戦争で白人にばれてしまったように、清国というのは領土だけはだだ広いけれど、軍という面では余りにも弱く、領土を広げたかったロシアとしては、格好の獲物だったのです。 ②更に、朝鮮半島は日本のお陰で独立はしたものの、長年清国の属国でした。強い者に土下座することで生き残るということをずっとやってきたために、朝鮮には自分で頑張ろうという意志が全くありませんでした。 日本は朝鮮に対して、日清戦争よりも前からずっと近代化の支援をし続けていたのですよ。ですから、朝鮮には日本にならって近代化しようと思えばできるだけの時間とお金の余裕は十分にあったのです。しかし、そういう努力は一切せず、清がアヘン戦争でイギリスに負けてしまったという現実を見ることもありませんでした。 ですから、日本の度重なる支援に対しても、「何で日本のような小国の言うことを聞かなければいけないんだ。中国様は守ってくれる気だ。私は常に強い者の味方に立つ」と虚言を吐いていたわけです。そんな状態ですから、日清戦争で日本が勝って、清より強いということが分かると、当然日本の方にすり寄ってきて、親日政権を作ります。 しかし、三国干渉で日本がロシアに譲歩すると、あっさり手のひらを返して、今度はロシアの方に媚びていきます。日本と協力しようと言う人たちとロシアに土下座しようという人たちの争いの中で、朝鮮国王が自らロシア公使館に逃げて政権を献上してしまうという状態でした。国を守るべき国王が最強の売国奴という信じられない状態だったわけです。 このように、近隣諸国が余りにも貧弱でしかもそれを変えようとする意志がかけらほどもなかった。このことがロシアの侵略を招いてしまったわけです。 ③次に膨張政策を取るロシアは東アジアをどんどん南下してきていました。清にも朝鮮にも、ロシアを止めようとする意志も力もありませんでしたから、まあ当然と言えますよね。 日本にとって朝鮮を大国に取られるということは、即日本への侵略の危機を意味しますから、これは最優先で解決しなければならない問題でした...