①明治維新政府は、日本の近代化のために何をしたか?この頃の政府のキーワードは、「富国強兵」だと言っても過言ではないでしょう。富国強兵とは、まず金を稼いで国を富ませ、軍事力を強くするということですね。当時は、西洋列強による植民地支配の絶世期であり、弱ければ侵略され植民地にされてしまうというのが当たり前の時代でしたから、軍事力を高めるということは絶対必要なことですね。で、軍事力を整えるためには金を稼がないと話が先に進みませんから、当然国を富ませようということになるわけです。明治政府はこの富国強兵のために様々な施策を行っていきますが、すべては書ききれないので、ここでは三つについて述べてみようと思います。殖産興業、徴兵令、教育制度改革の三つです。 ②一つ目は殖産興業です。具体的には、西洋から高給で技術者を雇い、日本人に技術を学ばせたり、日本政府が最新の製造工場を建てたり、形ができたら政府が民間に安く払い下げたりして、日本の近代化を効率よく進めました。当初はものすごく金がかかったのですが、短期間で日本を近代化し資本家を育成することに成功しました。日本人は今も昔も製品を改良することに関しては世界トップレベルを持っていますから、非常に効率の良いやり方だったと言えるでしょう。 ③二つ目は徴兵令を出して、国民の国防意識の向上を図りました。一定の年数の兵役を義務付けることにより、国防を身近なものと感じてもらい危機管理意識を高めたということですね。平和ボケでは、いざ事が起ってしまった時に何もできませんからね。 ④三つ目は、学制の発布により、それまで制度化されていなかった小学校の義務教育を制度化しました。教育が富国強兵に関係あるのかと疑問に思われるかもしれませんが、実は、この教育というのがもっとも重要なのです。 まず、大前提として、日本という国は日本人が集まってできている国です。つまり、日本人が豊かにならなければ、日本という国が豊かになることはないのです。私たち一人一人の質が国家の質なのです。何が言いたいかと言うと、もしも、日本人が読み書きもできません、簡単な計算もできません、自分のことしか考えないバカばっかりです、とこんな状況だったとしたら、折角西洋から最新の技術を導入しても使いこなせないですよね。ましてや、改良してより良い物を造るなどということは絶対無理です。分かりやすく言うと、ちゃ
①当時の世界情勢を一言で言い表すと、大植民地時代ということになるでしょう。つまり、欧米列強諸国が互いに争ってアジア・アフリカを侵略し植民地を作り、現代では考えられないような酷い非人道的搾取と支配を行っていた時代です。 この当時の白人たちは、有色人種を自分たちと同じ人間だとは考えていませんでした。漫画風に言うと「この世はすべて弱肉強食だ!強ければ生き、弱ければ死ぬ!」、これを一般常識とし、強者が弱者の尊厳・生命・財産を奪い続けていた時代でした。 ②江戸末期の時点で、アフリカはほとんど植民地で、アジアで独立国は日本と清国とタイの三カ国だけでした。ただし、清国は、アヘン戦争でイギリスに負けて以後、形だけは独立しているものの、西欧列強から半植民地のような扱いを受けていました。また、タイ王国は、イギリスとフランスの植民地の間にあり両国の緩衝地帯にされていたために、植民地にならずにすみました。いわば運がよかったということなんですね。 つまり、実質的に自力で独立を守っていたのは、日本だけだったのです。これが、当時の日本を取り巻く世界情勢で、何か一つ歴史の転がり方が変わると、日本が植民地化される極めて危機的な状況にありました。 幕府軍と薩長軍が全面戦争していればイギリスかフランスの植民地、南北戦争が起こっていなければアメリカの植民地、日清戦争で負ければ清国の植民地、日露戦争で負ければロシアの植民地になっていたことが十分考えられます。 ③次に、明治維新の世界史上の意義を一言で言うと、それまで白人しか持っていなかった西洋近代文明を、有色人種も扱うことができることを実証したということです。 どういうことか?日本以外のアジアやアフリカの人たちは、西洋文明の力、具体的に言うと軍艦と大砲ですね、これを目の当たりにして、「ああこいつらには、もう絶対かなわない、無理だ」と諦めてしまいました。それが普通の反応だったのです。 ところが日本人は、この西洋文明の力を目の当たりにした時に、無理だと諦めるのではなく、「あいつらにできるんなら、おれたちにもできるはずだ」と考えたのです。そして、西洋列強から技術を学び、自分のものにしていきました。現に、黒船来航からたった10年で、坂本龍馬は国産の黒船を作って乗り回していました。この時代の人たちは、本当にすごいですね。 ④つまり、明治維新は、有色人種が初めて西洋