💰 外交・資金・作戦:大国に挑んだ日本の戦略 国力、人口、兵力、海軍力において圧倒的な(後の日米戦争時以上の)差があったロシアに対し、日本が勝利を掴むためには、戦場での勇気だけでなく、周到な 外交努力 、 資金調達 、そして 奇抜な戦略 が必要でした。 1. 外交による安全保障:日英同盟の締結 対ロシア単独戦の回避 : フランス(露仏同盟)がロシア側に参戦した場合、日本は2対1の戦争となり、敗北は必至でした。これを避けるため、日本は国際的に孤立しないためのパートナーを必要としました。 世界最強国イギリスの援護 : 1902年、日本は 日英同盟 を締結しました。この同盟により、「ロシア以外の第三国がロシア側で参戦した場合、イギリスは日本側で参戦する」ことが約束されました。これにより、日本はロシアと 1対1で戦える という安全を確保しました。万一フランスが参戦しても、世界最強の海軍を持つイギリスが日本側につくため、日本は勝利の可能性を見出すことができたのです。 2. 資金調達の奇跡:高橋是清とユダヤ人資本家 圧倒的な国力の差と戦費調達の困難 : 戦争には莫大な費用がかかりますが、国力で劣る日本の国債は、誰にも見向きもされませんでした。「日本が勝てるはずがない」と誰もが考えていたからです。 高橋是清の奔走 : 当時日銀副総裁であった 高橋是清 は、世界を回り国債購入を懇願しましたが、当初は失敗に終わりました。 ロスチャイルド系資本家の支援 : 最終的に、ロシアで長年迫害を受けていた ユダヤ人 の資本家(特にロスチャイルド系の ジェイコブ・シフ )が、ロシアの ポグロム (ユダヤ人迫害)への報復として、日本国債を購入してくれました。これにより、日本は戦費を調達することができ、開戦の準備が整いました。これは 国際情勢 が日本の勝利に味方した、奇跡的な出来事でした。 3. 情報戦の天才:明石元二郎のスパイ活動 「一人で日本兵20万人の働き」 : 陸軍の情報将校である 明石元二郎 (あかし もとじろう)は、ヨーロッパを舞台に活動した 天才スパイ です。 ロシア国内の動揺工作 : 彼は、ロシアの専制政治に苦しむ少数民族や革命家(レーニンなど)に資金を提供し、反体制運動や独立運動を促しました。この工作により、ロシア国内は 内乱状態 へと繋がり( 血の日曜日事件 など)、...
満州の話をしばらく中断して日露戦争について述べます。 日露戦争は、日本にとって 自衛のための戦争 であり、決して侵略が目的ではありませんでした。この戦争は、ロシアの 南下政策 と 帝国主義 の脅威から、日本と朝鮮・満州の安全を守るために不可避となった戦いです。 1. ロシアの膨張と日本の危機 ロシアの南下政策と不凍港の追求 : 巨大なロシアは、その広大な領土の多くが北に偏り、冬に海が凍ってしまうため、一年中使用できる 不凍港 (凍らない港)を常に求めていました。このため、南へ南へと勢力を拡大する 南下政策 を国是としていました。 満州・朝鮮をめぐる対立 : ロシアは、満州を経て朝鮮半島に進出を試みました。もし朝鮮半島がロシアの植民地になれば、日本本土は直接的な脅威にさらされ、国防が極めて危険な状態になります。日本にとって、朝鮮半島と満州の安全は 国の存続 に関わる問題でした。 屈辱的な三国干渉の記憶 : 日清戦争の勝利で獲得した遼東半島を、ロシア・ドイツ・フランスの 三国干渉 により返還させられたことは、日本国民の 反露感情 を決定的に高めました。「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」(困難に耐え、復讐の時を待つ)という言葉が流行し、国を挙げてロシアに対抗するための準備を進めるきっかけとなりました。 義和団事件後の満州占領 : 1900年の義和団事件(北清事変)鎮圧後、列強は軍隊を撤退させましたが、ロシアは満州に軍隊を留め置き、事実上の占領を続けました。これはロシアの 侵略意図 が明白になった瞬間であり、「今ロシアを止めなければ日本は植民地になる」という危機感が政府、軍部、国民全体を覆いました。 2 . 日本がたどる可能性のあった未来:植民地・奴隷化の恐怖 当時のロシアが農民を半ば奴隷( 農奴 )として扱っていた事実や、シベリアが事実上の植民地だった状況を考えると、もし日本が敗北していれば、日本国民を待っていた未来は以下の通りであったと、当時の日本人は本気で恐れていました。 日本の植民地化と主権の喪失 日本人の奴隷化 : 男性は強制労働、女性は性奴隷とされる可能性 文化・言語の抑圧 日本は、この 最悪の未来を回避する ため、 自国と国民を守るため に、世界最強国の一つであったロシアとの開戦を決断したのです。日露の国力の差は、日米戦争時の日米以上に大きいものでし...