スキップしてメイン コンテンツに移動

第一次世界大戦:アジア・アフリカの悲劇は続く 41-2/2

 誤算と膠着状態:長期戦への突入

開戦当初、ドイツやオーストリア=ハンガリー帝国は、イギリス、フランス、ロシアに挟まれる形で圧倒的に不利な状況にあると考えられていました。そのため、ドイツは短期決戦を目指し、ロシア方面には少数部隊を残して防衛を固め、主力部隊をフランスに投入して速攻でパリを陥落させるという作戦(シュリーフェン・プラン)をとります。

しかし、この作戦は多くの誤算によって裏目に出ます。ロシア軍には勝利したものの、フランス戦線では機関銃などの新兵器の性能が高すぎたため、両軍ともに攻め込むことができず、塹壕戦による膠着状態に陥ってしまいます。この膠着状態は、約4年にもわたる長期戦の原因となりました。


⑥秘密外交と中東問題の根源

長期化する戦況の中、各国は戦局を有利に進めるため、さまざまな秘密外交を展開しました。特にイギリスが行ったいくつかの密約は、戦後の世界、特に中東地域に深刻な影響を及ぼすことになります。

・フサイン=マクマホン協定(1915年): イギリスは、オスマン帝国(当時のトルコ)支配下にあったアラブ人に対し、オスマン帝国に対する反乱を起こせば、戦後にアラブ人の独立国家建設を支援すると約束しました。この約束には、現在のヨルダンやパレスチナが含まれていました。

・バルフォア宣言(1917年): イギリスは、世界中のユダヤ人に対し、彼らが戦争資金を援助するならば、戦後にパレスチナにユダヤ人の民族的郷土(ナショナル・ホーム)を建設することを支持すると表明しました。

・サイクス・ピコ協定(1916年): イギリス、フランス、ロシアの三国は、オスマン帝国の領土を戦後に分割する秘密協定を結びました。この協定では、パレスチナを含む中東の広範な地域を、各国が勢力圏として分割することが定められていました。

これらの約束は、アラブ人、ユダヤ人、そしてイギリス・フランス・ロシアの三国それぞれに対して、明らかに矛盾する内容を含んでいました。特にパレスチナの地については、アラブ人にもユダヤ人にも「与える」と同時に、イギリスとフランスが勢力圏として分割するという、文字通りの「口先だけの調子の良い約束」だったのです。

この矛盾した秘密外交こそが、現在に至るまで続くパレスチナを巡る中東問題の根源を形成したと言えるでしょう。


⑦約束の反故とインド植民地支配の継続

さらにイギリスは、インドに対しても援軍を出す見返りに、戦後の独立を約束していました。しかし、この約束もまた守られることはなく、インドが独立を達成したのは第二次世界大戦後のことでした。これらの事実からも、西欧列強がいかに自国の利益のみを追求し、アジア・アフリカの独立自尊を無視し続けていたかが伺えます。


                   やまとこたろう


ランキングに参加しています。よかったらクリックお願いします。

   ↓          ↓

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村   

          PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

石破候補の裏切りの歴史がSNS上にあり国民の目に触れています。それを承知で投票されるのですか?

自民党議員に送りました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 靖国神社の参拝に否定的。大東亜戦争を侵略戦争と呼び、中国に謝罪せよと。 1.1981年、父の死後、 真っ先に葬儀に駆けつけてくれた 田中角栄氏の助言で政界を目指すも 田中派ではなく中曽根派からの立候補。 2.1993年 非自民の細川連立政権が成立。 自民党が野党に転落すると、 立て直しに四苦八苦する森喜朗幹事長に 「私はね、政権与党にいたいんです」 と捨て台詞をはき離党届。 3.小沢一郎を「真の改革者」と称賛して新進党結成に参加するも、小沢一郎が党首に選ばれると、自分の考える政党と違うと総選挙前に離党。 4.自民党に復党するも誰も相手にされず、伊吹文明が情けをかけて伊吹派に入れてあげるも、その後に入閣すると「閣僚が派閥に属するものはいかがなものか」の捨て台詞で伊吹派を離脱。 5.麻生政権の閣僚を務めていながら、支持率低迷で総選挙が近づくと総理官邸に乗り込み、謎の論理を展開して麻生おろしに加担。 6.民主党からの政権奪還を目指した自民党総裁選で安倍晋三と総理を争い、敗れて幹事長に在任期間中、地方選挙で連戦連敗し、自民党支持者を裏切る。 7.地方創世担当で実績を残せないどころか既得権益に配慮して加計学園問題で地方を見殺し。 地方を裏切る。 8.森友問題や加計学園問題などで テレビに連日出演して、安倍政権を背後から撃つ発言をしまくり、マスコミの安倍おろしに加担。                   やまとこたろう 高市さんはまだ3位だと藤川氏(選挙の神様、現在高市支援中)が警鐘。気を引き締めましょう。後2日で日本の運命が決まります。地元議員に高市さん支援を訴えてください。SNSを発信し続けてください。高市リーダーを支えて新しい日本をともに作っていきましょう。 #高市早苗 ランキングに参加しています。よかったらクリックお願いします。   にほんブログ村

37.日韓併合 〜その実情

  今回は、日露戦争のわずか6年後の1910年に行われた 日韓併合 について見ていきたいと思います。 ①日韓併合の背景:大韓帝国の実情と日本の安全保障 日韓併合は、日本が武力で一方的に制圧・占領したものではなく、当時存在した 李氏朝鮮の最後の姿である大韓帝国が、日本の統治下に入ることを選択し、「韓国併合に関する条約」によって実現したもの です。 日韓併合の対象となった大韓帝国は、現在の韓国と北朝鮮を合わせた朝鮮半島一帯を統治していた国です。元々「朝鮮」あるいは「李氏朝鮮」という国名でしたが、この王朝は1392年から約500年間朝鮮半島を支配していました。高麗の臣下であった李氏が明の力を借りて建国した経緯から、 明、そしてその後の清の属国として長い歴史 を歩みました。 李氏朝鮮時代の約500年間は、両班(ヤンバン)と呼ばれる貴族階級が権力を握り、多くの国民が貧困と搾取に苦しんでいたとされています。人口も減少傾向にあり、文化的な停滞も見られました。これについて歴史家の崔基鎬(チェ・ギホ)氏は、「他力本願ながら李朝の歴史に終止符を打った日韓併合は、この民族にとって千載一遇の好機であった。これを否定することは歴史の歪曲である」と述べています。日韓併合前の朝鮮半島は、このように国民の窮乏と文化的な停滞が長く続いた歴史を持っていました。 1895年の 日清戦争 で勝利した日本は、その後の日露戦争を経て、清の支配から李氏朝鮮を独立させました。これにより、朝鮮半島は500年ぶりに独立し、 大韓帝国が成立 したのです。 ②ロシアの南下政策と日本の危機感 話は前後しますが、当時の日本にとって最大の脅威は ロシアの南下政策 でした。ロシアの勢力が朝鮮半島まで南下すれば、北海道のすぐ北にある樺太(サハリン)と、九州の北に位置する朝鮮半島によって日本は挟撃される形となり、日本の安全保障は一層深刻なものになります。そのため、 朝鮮半島は日本にとって、何としても死守しなければならない生命線 でした。 しかし、国力が衰退していた李氏朝鮮には、自力でロシアの脅威から朝鮮半島を守る力はほとんどありませんでした。そこで日本は、朝鮮半島の近代化を支援し、ロシアの進出を阻もうとしましたが、長年宗主国として朝鮮を属国化していた清国は、当然これを許そうとしませんでした。 ③日清・日露戦争と日本の影響力確...

妻滝川クリスティ外国実業家との不倫疑惑や、小泉・滝川別居等の報道により、カリスマ小泉イメージが更に悪化

 滝川氏が58歳シンガポール実業家から自分の動物保護活動のために多額借入れがあり、不倫関係にあるとの報道が週刊誌やネットを賑わせています。 動物保護の観点から滝川氏はビーガン食を出し、肉好きの小泉議員はそれを好まず夜会食を取り議員宿舎に泊まる生活になり、不倫再開が懸念されています。 滝川氏は議員の将来性に不安を感じ、長男を英才教育し小泉5世に育てあげるつもりとの観測も流れています。 総裁選におけるお粗末過ぎる諸発言を国民が知り、熱烈な小泉ファンであった若い女性層やサラリーマン層がドン引きしました。それに加えたプライベート疑惑はカリスマ性瓦解に拍車をかけています。 「小泉を支援するのは誰だ」とネットの随所に。カリスマ小泉イメージに頼っていれば選挙に勝てると考えている議員の方々、国民をなめているとしっぺ返しを受けますよ。 高齢者も含め党員の多くがネットにアクセスし、党内の旧来型の権謀術数と権力闘争のかなりの部分を知り、左派大手メディアのフェイクを知っています。 政治力のなかった国民が初めて、偏向メディアと結託した既得権益権力に対抗する手段としてネットを手にし、国をよくしたいという国民の幅広い連帯感が生まれ始めています。 ある前議員が「党員は政策を考え、議員は自己保身しか考えていない」と 嘆いていました。 高市早苗 さんを推してます。やまとこたろう ランキングに参加しています。よかったらクリックお願いします。   にほんブログ村