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31.日露戦争② 大きな戦力差を引っくり返した日本海海戦 ~世界に大きな衝撃~

 前回は陸での戦いについて述べました。

今回は海での戦いについて述べたいと思います。


①日本海海戦は東郷平八郎率いる日本の連合艦隊と、ロシアのバルチック艦隊が戦った世界史に残る有名な戦いです。結果だけを見ると、戦艦8隻を含むバルチック艦隊をほぼ壊滅させ、日本側の被害は水雷艇3隻だけという、大勝利に終わります。しかし、この戦いは決して楽勝と言えるようなものではありませんでした。これは次の表の戦力差を見れば分かると思います。


②開戦前の日露の戦力比較:

最大動員兵力:日109万人、露208万人。

戦艦:日6隻(2隻は既に沈没)露15隻(極東に7隻)

海軍力:日26万トン、露80万トン。

鉄鋼生産量:日6万トン、露220万トン。


日露戦争を朝鮮が欲しかった日本の侵略戦争のように言う人がいますが、これは明らかにおかしいですよね。当たり前の話しですが、侵略戦争というのは楽勝で勝てる格下の相手にしかやらないのですよ。普通に考えて、戦力的に勝てそうもない相手に侵略戦争を仕掛けるバカがどこにいるでしょうか。返り討ちにあうのが眼に見えているではないですか。

そもそも日本はロシアと何度も交渉し戦争を回避しようと努力を続けてきました。にもかかわらず、明らかに格上のロシアと戦わざるを得なくなったのは、このままロシアを放っておいたら、遅かれ早かれ日本が侵略されてしまうからです。つまり、日露戦争というのは100%自衛のための戦争だったわけです。


③では日本は、この絶望的な戦力差をどうやって引っくり返したのか。要因はいくつかありますが、ここでは二つあげたいと思います。

一つは、日本の陸軍が旅順を早期に攻略できたことです。これによってロシアのバルチック艦隊が旅順の極東艦隊と合流することを阻止できました。これによって、4対15だった戦艦の不利の差を4対8にまで縮めることに成功しました。それでもまだ2倍の差がありますが。


④二つ目の要因は、バルチック艦隊が日本と戦うために世界をほぼ半周するという長距離航海を乗り越えてきたことです。さらにその航海の途中、日本の同盟国であり世界に植民地をたくさん持っているイギリスが、燃料である石炭の供給を拒否するなどいやがらせを行います。また、フランスなどにも外交圧力をかけ、ロシアの艦隊が燃料を補給したら速やかに港の外に追い出すよう仕向けます。これによってロシア兵はろくに休養を取ることも訓練をすることもできないとういう状況に追い込まれました。

さらに、イギリス海軍はバルチック艦隊をストーキングし逐一位置情報を日本に伝えてくれました。またロシアのことをよく思っていなかったインドとかトルコとかもこの動きに便乗して、日本を助けてくれました。つまり、世界が日本を助けてくれたわけです。


④このような世界の動きによって、バルチック艦隊は日本海にたどり着く頃にはもうすでに赤疲労状態に追い込まれていたわけです。対する日本は、自国のすぐそばで戦うわけですから、バルチック艦隊が長々と航海を続けている間に、演習を繰り返しレベル上げとキラ付け(戦意高揚状態)を行うことができたわけですね。

この演習によって完全勝利か完全敗北かの二択にならざるを得ない東郷ターンの成功率を向上させていたと考えると、あながちギャンブルとも言えない戦略だったのではないかとも思われます。


⑤さて、この日本海海戦での日本の圧倒的勝利は世界に大きな衝撃を与えました。はっきり言って、日露戦争で日本が勝つなんて同盟国のイギリスを含めて世界中の誰も思っていなかったわけです。

それを引っくり返しての日本の大勝利は、特にトルコやインドなど白人に虐げられていた有色人種に大きな希望を与えました。

ところが、この事実には触れずに、日露戦争に勝利した結果、日本は調子に乗って第二次世界大戦を引き起こしたというふうな、とにかく日本を悪者にしないと気がすまない人たちというのが少なからずいるのですよね。だからこそ、声を大にして言いたい、「歴史を直視せよ」。



                    やまとこたろう



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