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26-9. 福沢諭吉の「脱亜論」 

福沢諭吉は朝鮮の近代化に力を貸し、時には自分の命を危険にさらしても、朝鮮の近代化を支援しようとしたにもかかわらず、裏切られ続けることになりました。「脱亜論」というのは、支援し続けているにもかかわらず、一向に近代化する気配すらない朝鮮に対する福沢諭吉の諦め、いわば敗北宣言のようなものです。では、 福沢諭吉の「脱亜論」の中身に入っていきましょう。 ①昔に比べて交通の便が非常によくなり、世界中いたるところに白人の力が及んでいる。しかし、これは白人の人格が昔に比べて素晴らしくなったということではない。近代文明の力である。もし、日本が近代化を嫌がって幕府のままでいたなら、白人によって植民地にされていたであろう。しかし、日本人は、日本がなくなってしまっては幕府もくそもないってことで、天皇陛下の権威によって新政府を立て近代化を実現することができた。 しかし、不幸なことに日本には、中国と朝鮮という隣国がある。二国とも日本と同じように東アジアに属している。しかし、人種の違いか、教育の違いか分からないが、日本との考え方は余りにも違いすぎる。 ②近代文明の脅威を知ったにもかかわらず、過去にこだわり続ける中国や朝鮮は、千年前と変わらない。弱ければ侵略されるこの時代に、教育と言えば儒教にこだわっている。しかも儒教道徳は知識だけで行動が伴っていない。道徳?何それおいしいの?ってレベル。 現実を見れば彼らの言うことに科学的根拠はなく、国際法は平気で無視する。そればかりか、自分のことは棚に上げ、国際的な場で、「すべてお前が悪い。俺は悪くない」と開き直り、責任を他者に押し付けるだけで、反省などまったくしないから進歩がない。 私が思うに、日本の明治維新のように改革の志士が現れて、政治と国民の考え方を根本から変えるような奇跡が起こらない限り、独立を維持することは不可能である。おそらく、数年の内に白人たちによって侵略されていくだろう。 ③こんな状況の中国・朝鮮は日本の安全保障のためには何の役にも立たない。それだけでなく、白人の目から見れば、日本は中国・朝鮮に近いというだけの理由で、彼らと同じように見られてしまう危険すらある。彼らが独裁国家であれば日本もそう思われ、彼らが平気で国際法を破れば、日本も似たようなことをすると思われてしまう。このことが日本外交の障害になったことも多い。 だから、日本は中国・朝鮮が...

26-8. 歴史を直視せよ!〜日清戦争前の日・中・韓の関係〜

  明治8年日本は朝鮮と日朝 修好条規を結び、朝鮮の独立と近代化を日本が支援していくことを以前述べました(詳しくは、 26-4. 明治外交に学ぶ外交姿勢 )。今回はその続きです。 ①日本と国交を結んだ朝鮮では、一部に、日本の近代化を見て、朝鮮もこうならなければならないと本気で考え、独立と近代化を目指した、いわゆる改革派の人たちが出てきました。金玉均 キンギョクキン が有名ですね。ただ、そこは朝鮮ですから、今も昔も親日派は少数派であり、悲惨な死を遂げるか、裏切るという傾向があるのですよ、悲しいことに。 ②まず、李氏朝鮮王に代わり朝鮮を牛耳った独裁王妃の閔妃 ミンピ が、西洋列強に対する防衛力を強化する必要を強く感じ、明治15年に日本の支援を得て軍政改革をやったんですね。そうすると、軍隊を新しくするからそれまでいた人たちは失業してしまうわけです。それに目をつけた大院君(閔妃の父)が、自分がトップに立つために、その失業した兵士たちを焚きつけて、クーデターを起こすわけです。 その結果、日本公使館は焼き討ち、日本人外交官を殺しまくるというとんでもないことをやってのけました。こんなことをされたら、今も昔も戦争ですよ、普通は。 しかし、当時の日本は朝鮮に早く近代化してほしいわけです。だから、仏の心でこれを許します。賠償金は10年がかりで払うことにな、最初の2年分は対応にかかった費用としてもらうのですが、残りの8年分は朝鮮の近代化のために役立ててくれ、ということでもらわなかったのです。それだけじゃなくて、軍艦と大砲まで与えて支援しているのですよ。 ところが、助けてもらった閔妃は改革を諦め、清国に近づいていきます。まあ、閔妃にしたら、大院君に勝てさえすれば後は何でもいいといったところですよね。きっと彼らにとって、助けてもらうことは当たり前で、恩を返すという考え方はないのでしょうね。 ③で、2年後です。金玉均を中心として、やっぱり朝鮮も近代化しなければ駄目だという人たちが現れてクーデターを起こします。すると、閔妃は清国に泣きついてこれを鎮圧してもらうわけです。結果、日本公使館はまたしても焼き討ち、首謀者の金玉均は日本に亡命して、福沢諭吉にかくまってもらうことになります。 しかし、「自分が日本にいては、朝鮮の近代化は永遠に望めない」ということで、自ら朝鮮に戻ってしまいます。結...

26-7. 大日本帝国の初期議会における大混乱に学ぶ国会のあり方

  ①当時の世界で最も民主的な憲法を作った結果、ドイツの憲法学者シュタイン教授などが心配していた通り、日本の政治に大混乱が起きることになりました。その中身について見ていきましょう。 当時の状況としては、税収を安定させ、近代化を実現し、西欧列強の侵略から日本を守っていこうとする吏党、今で言う与党と、ある程度お金を持っている国民を支持層とした民党、今で言う野党があってそれらが争っていたわけです。 当時の日本というのは、自虐史観 (自国の歴史の負の部分をことさら強調し、正の部分を過小評価し、自国を貶める歴史観) の人たちに言わせれば、天皇独裁国家ですから、当然警察権力を使って与党が圧勝したはずですよね。では、結果を見てみましょう。 ②第一回衆議院議員総選挙:明治23年7月施行、投票率93.9%。             吏党(与党)84、民党(野党)171、無所属45、合計300。 あれあれ、野党が圧勝していますよ。自由のない独裁国家のはずなのに、不思議ですよね。当時は、政党内閣制(総選挙で勝った政党が内閣を組織する)にまだ移行していませんでしたので、少数与党が内閣を組織するわけですが、予算がまったく通らず、政治が回らないという苦境に陥ります。 そこで、困った与党は、第一回帝国議会では、数が倍いる野党の議員に対して、なんとか予算を通すため賄賂を贈るわけですね。後にも先にもこれ以上ない大規模な買収工作を行って、なんとか予算を通します。 ③続く第二回帝国議会ではどうなったか。シナやロシアの脅威がそこまで迫って来ているのに、野党の議員が軍艦建造費の予算を通さないわけです。予算通して欲しければ、また金よこせというような野党の態度に、海軍大臣がブチ切れます。 「日本が近代化して独立国でいられるのは、軍のおかげだろうが。ちっとは俺達に協力しろ。馬鹿野郎!」というようなことを議会で言ってしまったわけです。これが原因で、衆議院は解散となってしまいます。 ④さあ、やって来ました、第二回総選挙。第一回総選挙で負けたら大変なことになるということを学習した与党は必死になります。また負けたら、予算が通らず、軍艦建造が出来ないということが繰り返されるので、警察権力を使って、大規模な選挙干渉を行います。結果としては、全国で死者25人を出してしまうという流血の惨事になってしまったのです。 警察権...

26-6. 当時の世界で最も民主的だった大日本帝国憲法

①次に、 大日本帝国憲法の中身について見ていきたいと思います。 大日本帝国憲法と聞くと、天皇独裁だとか、軍国主義の象徴というふうに思っている人が多いのではないかと思います。しかし、まったくそういうことはなく、当時としては世界で最も民主的と言えるレベルのものが出来上がっていたのです。 シュタイン教授をはじめ欧米の憲法学者に、「そんなに権利をばらまいて、本当に大丈夫か。大混乱になるぞ」と口を揃えて心配されるほどに民主的だったのです。 伊藤博文たちは憲法を欧米に学びに行き、さらに日本で古事記や日本書紀やその他日本の古い文献を読み、日本の歴史や文化や日本人の心を必死に研究し、それから憲法の作成に取り掛かって、日本は10年かかって独自の憲法を作りあげました。 当時は、板垣退助などの自由民権運動派の人たちのような、大衆受けはいいが政治能力がまったくない人たちが、選挙結果次第では政権を取ってしまう可能性があったのですね。だから、誰が総理大臣になっても、何とか政治がまわるような憲法を作らないといけないわけです。現代で言うと、某鳥の人とか空き缶のような人が総理大臣になっても大丈夫なような憲法を目指して作ったわけです。 ②では、10年もの歳月をかけて必死に研究して作った大日本帝国憲法とはどんな中身だったのでしょうか。GHQのリベラル左派系が1週間のやっつけ仕事で作った日本国憲法とは、真剣さが違うのです。 まず、自由権があります。居住移転の自由も保障されていましたし、財産権も保障されていました。また、言論の自由も法律の範囲内で保障されていました。こんなこと独裁国家ではあり得ないでしょ。次に衆議院と貴族院の二院制が採用され、今と同じ衆議院の予算先議権がありました。 また、司法権の独立もすでに確立していて、ロシアの皇太子の暗殺未遂事件が起った際に、政府は裁判所に死刑を要求しましたが、裁判所は司法権の独立の立場から、政府の要求を跳ねのけ、無期懲役で刑を確定しています。どうです、民主的でしょ。これらのことを、まだ世界に民主主義という言葉すらなかった時代に日本では実現させていたのです。 ③次に、よく天皇独裁と言われるので、天皇の規定についても見ていきましょう。一番誤解されているのが、天皇大権です。言葉だけ聞くと、天皇が独裁できてしまいそうなイメージがあるのですが、そんなことはないのです。基本的に天...