十字軍遠征や世界植民地化などに見られるキリスト教徒の攻撃性・侵略性はなぜなのか?キリスト教の母胎となったユダヤ教と古代ユダヤ民族の歴史に、その糸口があるのではないかと想定し、その観点から探ってみることにします。
①古代ユダヤ民族は、紀元前17世紀イスラエルの地に定住、大飢饉、エジプト移住、紀元前13世紀エジプト脱出、ユダヤ王国建国、紀元前6世紀王国滅亡、バビロン捕囚、ペルシア支配、ギリシア支配、紀元前1世紀ローマ支配、紀元1世紀イエスの伝道活動、反ローマ蜂起・玉砕などと、超悲惨な運命に翻弄されていきました。
そのような果てしない苦しみの中で、ユダヤ人は自分たちを救ってくださる強い全知全能の唯一絶対神を必要とし、民族絶滅を乗り越えていこうとする強烈な祈りと願いが『旧約聖書』(ユダヤ教ではタナハと呼ぶ、イスラム教でも大切にされている)に、血の涙で記されていったのではないかと推察されます。『旧約聖書』にはユダヤ人に向けられた唯一絶対神の激烈な言葉が多く記されています。それらを見ていきましょう。
②「あなたは他の神を拝んではならない。主はその名を『ねたみ』と言って、ねたむ神(thy God am a jealaus God)だからである」と出エジプト記34章14に記されています。
「他の神を拝んではならない」は、モーセが神から授けられた十戒の一番目の戒めです。
出エジプト記:ユダヤ人が奴隷とされていたエジプトから、モーセが先導して脱出した故事。神は、海を開いてユダヤ人を逃がしきると、海を閉じて追いかけてきたエジプト軍を全滅させた。
③「あなたがたが、足の裏で踏む所はみな、わたしがモーセに約束したように、あなたがたに与えるであろう。あなたがたの領域は、荒野からレバノンに及び、また大川ユフラテからヘテ人の全地にわたり、日の入る大海に達するであろう」とヨシュア記に記されています。約束の地カナンと呼ばれます。ヨシュアはモーセの後継者です。。
約束の地カナンは、今のイスラエルとほぼ同じ地域です。因みにコーランにも「この地に住み着きなさい」と書かれています。ユダヤ教のユダヤ人とイスラム教のアラブ人=パレスティナ人にとっても共通の神の約束の地となりました。近年のDNA鑑定で、カナンの地に住むユダヤ人とパレスティナ人のDNAが同じであることが明らかにされました。同じDNAの民族が、その後の激烈な変転の結果、同じ地を争って殺し合うようになっていったようです。
④ヨシュアに先導されてユダヤ人は約束の地に向かいましたが、そこには当然のようにアラブ人たちが住んでいました。ヨシュアはどうしたらいいのか神に尋ねたところ、
神は、「殺せ、その地を奪い返せ、わたしがリーダーになるから、わたしの言う通りにしろ」と言われ、
「民はみな、すぐに上ってエリコの町にはいり、町を攻め取った。そして町にあるものは、男も、女も、若い者も、老いた者も、また牛、羊、ろばをも、ことごとく剣にかけて滅ぼした。」とヨシュア記6章21に記されています。
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